近未来ファンタジー『雲のむこう、約束の場所』あらすじ・キャスト【吉岡秀隆主演】

近未来ファンタジー『雲のむこう、約束の場所』あらすじ・キャスト【吉岡秀隆主演】

「雲のむこう、約束の場所」は2004年に発表された新海誠氏が監督を務める初の長編作品です。 前作である「ほしのこえ」からさらにステップアップした映像と音楽とのマッチした世界づくりが評価され、スタジオジブリ作品を抑えて第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞するなど、大きな注目を集めました。他にも東京国際アニメフェア2003で表現技術賞、カナダファンタジア映画祭アニメーション映画部門銀賞、第36回星雲賞アート部門を受賞しました。 また、アニメーション作品では語られなかった部分を補完するように加納新太氏著の小説「雲のむこう、約束の場所」への展開を見せており、より深く作品を楽しむために読んでおくのもいいでしょう。 また、演出として大御所声優である三ツ矢雄二、新海監督手ずから作詞した主題歌「きみのこえ」を歌うのは川嶋あいであるなど、前作は監督本人が声を当てるなど新海ワールドの構築に余念がありませんでしたが、「雲のむこう、約束の場所」では制作陣に前作以上の様々な才能が集結することによって深みのある世界観に仕上がっています。

『雲のむこう、約束の場所』あらすじ

「雲のむこう、約束の場所」の舞台は1996年の日本です。その時日本は南北に分断され統治されています。 世界の半分を覆う共産国家群ユニオンは北海道にあたるエゾを支配下に置き、エゾの中央に高くそびえたつ純白の塔を建造している世界で、青森県の津軽半島に住む主人公の藤沢浩紀と白川拓也はその塔に憧れていました。

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出典:https://www.youtube.com

二人は秘密裏にある計画を立てていました。それは、自分たちが整備した飛行機ヴェラシーラで津軽海峡を越え、塔まで飛んでいくことでした。それは国境を侵す犯罪に他ならなかったため、計画は他言無用の秘密として二人の間のみで共有されているものでしたが、うっかり口を滑らせた浩紀が原因で沢渡佐由理に計画が露見してしまいます。ですが、彼女はその計画を咎めることなく、ヴェラシーラに興味を持ったことで秘密を共有する共犯者になってくれます。 浩紀と拓也は佐由理を塔まで連れていくことを誓いますが、ヴェラシーラが完成に近づいたある日、突然に佐由理が彼らの前から姿を消します。 物語は三年後、佐由理を失ってエゾに渡る意味も見失い、浩紀が津軽半島を離れたところから再開します。浩紀のもとに3年前の佐由理から手紙が届きます。そこには佐由理が原因不明の眠り病にかかっていたことが書かれており、駆け付けた浩紀を迎えたのは空の病室でした。そこで浩紀は白昼夢を見ます。浩紀はそこで佐由理を救い出すことを誓います。 一方、拓也は反ユニオン組織であるウィルタ戦線に内通し、在日米軍のアーミーカレッジで塔の秘密を探っていました。塔の役割は宇宙の見る夢、並行世界を観測して高度な未来予測を行うことでしたが、正常に塔は機能を果たしていないことが分かり、そして塔の設計者の孫娘である佐由理との関係にたどり着きます。 やがて津軽海峡を舞台にして始まるアメリカとユニオンの戦争の最中で、少年少女たちの思いは、平和への希求はどこへ向かって流れていくのでしょう。  

『雲のむこう、約束の場所』キャスト

主人公である藤沢浩紀を演じるのは俳優の吉岡秀隆さん、その友人として登場する白川拓也は同じく俳優の萩原聖人さんです。ヒロインである沢渡佐由理を演じるのは今となっては有名声優、歌手として知られる南里侑香さんです。他にも石塚運昇さん、井上和彦さんの大御所声優陣が脇を固めます。

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出典:https://www.flickr.com

「ほしのこえ」が新海誠監督自身が声を当てるなど新海誠ワールドを表現することに集中していましたが、「雲のむこう、約束の場所」ではアフレコ演出に三ツ矢雄二さんを招へいするなど、役者の個性が乗ってまた違った味のある作品になっています。  

藤沢浩紀(声)/吉岡秀隆

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出典:http://stat.news.ameba.jp

主人公である藤沢浩紀を演じるのは俳優の吉岡秀隆さんです。 映画などで見る吉岡さんはどちらかと言えば頼りなく、少しなよっとした冴えない青年キャラクターを演じることが多いのですが、声を当てた「雲のむこう、約束の場所」のキャラクターである浩紀の精神的に繊細ながら、要所では芯の強さを見せるところに吉岡さんの優しい演技が重なって浩紀の人間性が多層的に描かれています。ベテラン俳優らしい豊かな演技力が要所要所で光ります。  

白川拓也(声)/萩原聖人

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出典:http://livedoor.blogimg.jp

主人公の親友である白川拓也を演じるのは萩原聖人さんです。 実際に彼が演技をするときは少し陰のあるような役どころや、一筋縄ではいかない性格であることが多いのですが、「雲のむこう、約束の場所」で演じた拓也は腹に一物抱えたキャラクターですので、萩原さんの個性にぴったりな人物と言えます。一方で、普段はハンサムな大人の男性を演じることの多い萩原さんが、「雲のむこう、約束の場所」では少年役で登場するだけに、なかなか見られない彼の演技を見ることができます。  

主題歌

「雲のむこう、約束の場所」の主題歌は「きみのこえ」であり、作曲と編曲を天門さんが、作詞を新海監督手ずから手掛け、ハートマークという名義で歌手の川嶋あいさんが歌っています。 作中では川嶋さんの名前は伏せられており、「きみのこえ」はシングルとしても発売されていません。データでの販売はされていないため、「雲のむこう、約束の場所」サウンドトラックに収録されるのみですので、彼女の優しい歌声を聞きたい、という方はサウンドトラックをお買い求めになるのが一番の近道かと思います。

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